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ここで紹介するのは私が何年か前に発表したものです が、ある特定の病気が過大評価されたり過小評価されたりするといったバイアスがかかる 。要するに主傷病選択法の欠点を挙げ連ねているわけです。これはどのように分析したか といえば、社会医療診療行為別調査というレセプトの調査と、これは皆さんも関係してい る人がいらっしゃるかもしれませんが、3年に1回行う患者調査とを比較しました。患者 調査は医療機関に対して調査票を送って調査するものですから、その主傷病というのはか なり信頼が置けるであろう。それと比較したわけです。もちろん社会医療診療行為別調査 の対象は国保と政管だけですから、患者調査でもその患者だけを選びました。
 その結果わかったことは、系統的にレセプトで分析すると過大評価されたり過小評価さ れやすい病名が出てくることです。例えばレセプトでは実際よりも多目に判断されやすい 病気というのは、大分類でいえば消化器疾患とか筋骨格系の疾患です。社会医療診療行為 別調査と患者調査とは時期は違いますが、基本的に同じ全国の患者集団ですから、理屈か ら言えば一致するはずです。少なくとも大きな差があるはずはない。ところが、差があっ たわけです。しかも、それがある年だけではなくて、ずっと一貫してです。それでわかっ たことは、社会医療診療行為別調査では過小評価されやすいのは精神疾患、診断不明確、 損傷、中毒等です。
 レセプト調査で「診断不明確」が過少評価される理由として1つ考えられるのは、はっ きり言って主治医であってもわからない病名があるのです。ところが、レセプトにはとに かくずらっと保険病名が出てきます。そこから任意に病名を1つ選べとなると、エイヤ式 にどれかの病名を当てはめてしまいます。その結果、レセプトで傷病分類すると、本当は 診断不明確の患者さんであっても、強引にどれかに入れてしまいますから、その結果、診 断不明確というのが少なくなってくるわけです。もう1つ、精神も実際より少な目に評価 されやすい。なぜかよくわかりませんが、そういう傾向にあります。
 それに対して、レセプトでの調査であっても実際の主治医に対する患者調査であっても 大体一致している、換言すれば、レセプトで分析しても大体いいだろうと思われる患者数 が推計できるのは感染症、悪性新生物、循環器、呼吸器、これらは絶対的に患者数が多い ですから、そういう標本誤差も少なくなってくるのだろうと思います。
 いずれにしても、レセプトの場合は選ぶ人の判断によっても変わってくるし、仮に多く の人が関与して全国的な調査をやったとしても、系統的にはやはりバイアスがかかってく るということは、主傷病選択法の1つの欠点ではなかろうかと思います。