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さて、主傷病選択法がぐあいが悪くなってきているもう1つの大き な懸念材料に、レセプト病名の増加があります。これは、国保医療給付実態調査、先ほど 紹介しました緑本をそのまま写したものです。緑本には、レセプト1件当たり一体どれく らい病名書かれているのか、その病名の数が調査されています。現在入手できる最新版は 96年の分で、入院と外来のレセプトの病名数がどれだけになっているか調べたものです。
ごらんください。なぜかよくわかりませんが、92年の調査を境にレセプト1件当たりの病 名の数がどんどん増えています。つまり、91年のころは、国保の全レセプトの平均で、レ セプト1件当たりの病名数は5しかなかった。外来でも 3.6くらいです。ところが、現在 国保の入院レセプトには、1件当たり平均8つの病名があります。外来でも4以上ありま す。
 ちなみに、国保といっても老人も含んだものですから、老人の方がどうしても合併症も 多くなるから病名の数が増えるので、人口の高齢化の影響ももちろあるでしょう。事実、 国保の老人の加入者の割合がどんどん増えているのはご存じのとおりです。それももちろ んあるだろうと思いますが、それだけではちょっと説明がつかない。少なくとも確実に言 えるのは、8年前まで1人当たり5つ病名を持っていたのが、今は8つで、8年間で3つ も増えているのです。それは高齢化の影響もあるだろう。しかし、少なくともそれだけ重 症者が増えてきたわけではないと思います。
 恐らくもう1つ理由は、レセプトの審査が厳しくなってきたことへの医療機関の対抗措 置なのでしょう。こうなってくるとレセプト審査の制度的な限界にも直面するのですが、 基本的にはレセプトの病名と診療内容とを見比べて診療行為の審査をする。病名を見て「 例えば循環器の病名がない、したがって心電図は不適当だから査定する」という形になり ます。面白いのは、診療行為は査定するが、病名は査定しないのです。「8つ病名あるが 、このうち3つの病名は不要だ」という審査は、やってはいけないとは書いてないでしょ うが、なぜか審査委員も病名だけは査定できない。私はいつも不思議に思って何人かの審 査委員に聞いてみたのですが、よくわからないということでした。
 そこで、問題になってくるのですが、一番最初に言いましたように、レセプトは診断書 かといえば、違うのです。レセプトには医師の名前を書かないでしょう。診断書には必ず 医師の名前が書かれて、判を押すものです。つまり、病名がこれだけ増えているが、それ は決して医師が自分で診断したかどうかはわからない。とにかく事実として、やはり保険 病名が増えているのだろうと考えていいと思います。