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なぜ傷病数が増えるとレセプト分析の上で問題かとい
えば、私は、知っているお医者さんの協力を得て実験してみました。たまたま99枚のレセ
プトを借りることができて、そのレセプトの束を3人のお医者さんにポンと与えて、病名
を分類してくれと言ったわけです。ちなみに、3人のお医者さんはそれぞれ専門も違いま
すし、お互いに全然知らずにやりました。ちなみに、1人は精神科医、1人は内科医、1
人は救急の先生でした。この99枚は退職者の外来レセプトですから、割と高齢の人が多く
て、平均傷病数が5.22もありました。このうち6件だけは傷病名が1つで何ら問題があり
ませんでしたので、残り93件の病名を選んでいただいて分類したわけです。
なお傷病分類は、レセプト分類で通常用いられる 107分類(ICD中分類)で分類して
もらいましたが、3人とも同じカテゴリーに分類したのは、93件のうちわずか37件でした
。3人のうち2人は一致したというのが42件。3人とも全然違う分類をしたレセプトが14
件もありました。
私が興味を持ったのは、要するにそれぞれの不一致度のレセプトの傷病名を数えたら、
非常にきれいな関係が出ています。3人ともぴたっと一致したのは病名数が4つ、平均よ
り少ないのです。3人のうち2人までは一致したのは病名数が 5.7。3人とも全然一致し
なかったのは、何と病名数が 7.5ありました。
つまり私が言いたいのは、これは算数の問題ですが、病名の数が仮にエイヤ式にさいこ
ろを振って決めると考えても、例えば病名が2つの場合と3つの場合でしたら、当然数が
少ないほど一致する率は高いわけです。2つしかなかったら2分の1の確率で必ず一致し
ます。要するに確率論的で、幾ら医師が判断しても、病名の数が増えてくると全然一致し
ないケースが多くなってきます。
先ほどのを思い浮かべてほしいのです。病名の数がどんどん増えている。この原因はと
もかくとして、要するに従来のエイヤ式に傷病分類していると、その不一致度がだんだん
高くなり、傷病分類そのものが信頼できないものになってくる、ということです。5年間
で入院のレセプトの平均病名数が5から8に3つも増えているのです。幾ら支払基金の連
合会の方々が必死になって何とかして主傷病を選ぼうと頑張っても、平均病名数が5から
8になったら一致しない率も高くなってくる。現在の緑本の内容は、同じレセプトの標本
を別の人にさせたとしたら、恐らく全然違った結果が出てくる可能性が非常に高いだろう
と思います。
というわけで、病名数が増えれば増えるほど、主傷病選択法というのは、その再現性と
いうか、ばらつきが多くて、とても信頼ができなくなってくる。非常にまずいことに、病
名数がどんどん増えてきているので、主傷病選択法がますます困難になってきているとい
うことを言いたいわけです。